8日から24名人戦が開幕しました。自分は12人の五段aリーグ、リンリンさんは12人の12級aリーグにそれぞれ入っています。4週間の予選のうち半分の2週が過ぎたので、ここまでの将棋を簡単に振り返りたいと思います。
1局目(1/8)
開幕戦はこちらの四間飛車に対し、相手は左美濃の作戦。△2三玉型の「天守閣美濃」ではなく、△2二玉型の美濃というのがやや珍しいところ。2二の位置は振り飛車側の角のラインに入っているので、条件としては戦いやすいと思います。 相手も7三に角を転換してこちらの玉を睨む位置をキープし、緊迫感のある中盤戦となりました。
第1図は6六の角を▲7五角と出て飛車金両取りをかけたところ。ここでは△4六飛▲同金△5六歩▲5五歩△3七銀(参考図)と踏み込まれると際どい勝負だったようです。以下、3七の地点で清算すると△5五銀が詰めろで入るし、▲3九玉と逃げるのは△8四角!というGPS指摘の鬼手があります。
本譜は第1図から△8二飛と逃げたので、▲6四歩から安心して攻めることができる展開になり、幸先良く白星スタートを切ることができました。
2局目(1/8)
1局目が終わってすぐ、続けて2局目を開始。 今度は四間飛車vs居飛車穴熊になりました。
第2図は3三の角を一つ引いて様子を見たところ。▲4六歩△同歩▲同銀なら△6五歩と反撃して振り飛車の調子が良いので、別のところから仕掛けてきました。
第2図以下▲1五歩△同歩▲同香△1四歩▲同香△同香▲1五歩△9二香打▲1四歩△8五桂(第3図)
▲1五歩から仕掛けてきましたが、1一の香が9二にワープしたので振り飛車大満足の取引だと思います。第2図からは▲8六香に△9七桂成と端に殺到。その後、欲張りに行った手を咎められて怪しい雰囲気になり、はっきりと悪くなる変化もありましたが、玉頭から押し潰すような展開になり結果的には快勝。初日は連勝スタートとなりました。
3局目(1/9)
四間飛車vs串カツ囲い(△1一香△1二玉型の穴熊)の戦型。実は先月にもRで対局していた相手で、仕掛けの直前まではその時と全くの同一局面でした。仕掛けのところでリードを奪い、その後は明らかに最善を逃してしまっているところもありましたが、既に大差になっていたので大勢には影響なし。開幕3連勝と同時に、昨年末に将棋が壊れて以来久々の五段復帰も果たすことができました。
4局目(1/10)
相振り模様からの力戦形になりました。相手が位を取って大模様を張ろうとしたのに対し、こちらは理想形を築かれる前に速攻を目指すという構図。
第4図は相手が▲4八飛と4筋を受けたところ。一度▲8八飛としたのを手損で4八に戻らせたので、▲3八金と上がらせている事も合わせてまあまあ満足な序盤戦と思っていました。しかしここからの具体的な指し手や方針が難しく、長考に沈みます。
第4図から仕掛けを目指すのは難しいと判断し、6筋の位の圧力を緩和する意味で穴熊への組み替えを目指しました(△8二玉~△6二金寄~△7四歩~△7三銀~△9二香という順)。しかしこの構想は疑問で、第4図からそのまま仕掛けていく順を模索するほうが現実的だったと思います。何しろ玉形が大差なので、少しくらい無理な仕掛けでも通ってしまう可能性は十分にありそうです。
本譜の穴熊への組み替えは、駒運びが明らかに不自然な感じがしますし、6六角の利きを活かして端攻めを目指されると却って当たりが強くなってしまっています。実戦も9筋の歩を伸ばされて先攻を許す展開になってしまいました。
しばらく進んで第5図。ここで強く決戦を挑む△4五歩と、端の傷を緩和する△9八歩(▲同香に△8六桂の狙い)の二択で迷いました。穴熊的には当然△4五歩の一手で、形勢は後手苦しいですが実戦的なアヤはかなりある展開だったと思います。本譜は秒に追われて△9八歩を選択しましたが、そこで▲7三歩△同飛▲7四金というのが少し見えづらい切り返しでした。以下△7二飛▲9八香△8六桂▲6九玉△9八桂成に▲8四歩が急所中の急所で、こうなってはもう粘りが利きません。開幕からの連勝は3でストップしました。
第4図から穴熊に組み替える構想や第5図からの△9八歩など、全体的にセンスがなかったな・・・とは思いましたが、自分なりに一生懸命考えた結果だから仕方がない、と割り切って考えることにしました。
5局目(1/15)
今度は定跡形の相振り。矢倉の厚みを相手にせずB面攻撃を目指す「菅井流」の攻めを受け止める展開になりました。こちらが先手番だったのと、相手が仕掛けの前に玉側の端歩を突いていた影響で、十分な態勢で仕掛けを迎え撃つことができました。一度は完全に受け切る形になったものの、その後のまとめ方があまり良くなく、相手に暴れられてギリギリの勝負となります。
第6図は終盤戦。駒割りはこちらの大きな駒得ですが、飛車を逃げると△6六歩が厳しく、完全に受け切るということはできない局面になっています。攻め合うにしても後手の美濃は堅そう・・・ですが、ここからの指し手はちょっとだけ自慢の手順、のつもりです。
第6図以下▲6三歩△7七成桂▲8三歩△6三銀▲3二飛△5二銀▲6三角△6七成桂▲7二銀(第7図)
堅そうに見える美濃ですが、歩を2枚ポンポンと置くだけで詰めろが掛かりました。歩の偉大さが身に沁みます。第7図の▲7二銀で後手玉は詰んでいます。
逆転負けしていたら3連勝からの2連敗で嫌な流れになっていたところでしたが、 なんとか踏みとどまって4勝1敗にできたのは大きいと思います。気分的にもだいぶ楽になれました。
6局目(1/17)
またまた相振り。駒組みから仕掛けに至るまで、全体的にちょっと雑になってしまっていたと思います。 美濃の堅さを頼りに一方的に攻めまくり、気分がいいようでも攻めは細い。局後のGPSの検討では、終盤でこちらが敗勢になっている局面もあったようですが、相手の時間攻めを意識したノータイム指しがこちらに幸いし、細い攻めを繋いで寄せ切ることができました。結果的に白星はついたものの、内容的には大反省の一局でした。
・・・ということで、前半戦終了時点で5勝1敗の勝ち点16、リーグ内の順位は暫定1位となっています。リンリンさんはここまでは1局のみの消化で、後半にどこまで対局数を伸ばせるか、というところでしょうか。
全ての将棋で、というわけではありませんが、全体的には自分なりにしっかり指せているほうかなと思っています。内容重視という第一目標を忘れないようにしつつ、後半戦も気持ちを切らさずに指していければと思います。対局しているのを見かけた時は、ひょっこり覗いてみていただければ幸いです。
1局目(1/8)
開幕戦はこちらの四間飛車に対し、相手は左美濃の作戦。△2三玉型の「天守閣美濃」ではなく、△2二玉型の美濃というのがやや珍しいところ。2二の位置は振り飛車側の角のラインに入っているので、条件としては戦いやすいと思います。 相手も7三に角を転換してこちらの玉を睨む位置をキープし、緊迫感のある中盤戦となりました。
第1図は6六の角を▲7五角と出て飛車金両取りをかけたところ。ここでは△4六飛▲同金△5六歩▲5五歩△3七銀(参考図)と踏み込まれると際どい勝負だったようです。以下、3七の地点で清算すると△5五銀が詰めろで入るし、▲3九玉と逃げるのは△8四角!というGPS指摘の鬼手があります。
本譜は第1図から△8二飛と逃げたので、▲6四歩から安心して攻めることができる展開になり、幸先良く白星スタートを切ることができました。
2局目(1/8)
1局目が終わってすぐ、続けて2局目を開始。 今度は四間飛車vs居飛車穴熊になりました。
第2図は3三の角を一つ引いて様子を見たところ。▲4六歩△同歩▲同銀なら△6五歩と反撃して振り飛車の調子が良いので、別のところから仕掛けてきました。
第2図以下▲1五歩△同歩▲同香△1四歩▲同香△同香▲1五歩△9二香打▲1四歩△8五桂(第3図)
▲1五歩から仕掛けてきましたが、1一の香が9二にワープしたので振り飛車大満足の取引だと思います。第2図からは▲8六香に△9七桂成と端に殺到。その後、欲張りに行った手を咎められて怪しい雰囲気になり、はっきりと悪くなる変化もありましたが、玉頭から押し潰すような展開になり結果的には快勝。初日は連勝スタートとなりました。
3局目(1/9)
四間飛車vs串カツ囲い(△1一香△1二玉型の穴熊)の戦型。実は先月にもRで対局していた相手で、仕掛けの直前まではその時と全くの同一局面でした。仕掛けのところでリードを奪い、その後は明らかに最善を逃してしまっているところもありましたが、既に大差になっていたので大勢には影響なし。開幕3連勝と同時に、昨年末に将棋が壊れて以来久々の五段復帰も果たすことができました。
4局目(1/10)
相振り模様からの力戦形になりました。相手が位を取って大模様を張ろうとしたのに対し、こちらは理想形を築かれる前に速攻を目指すという構図。
第4図は相手が▲4八飛と4筋を受けたところ。一度▲8八飛としたのを手損で4八に戻らせたので、▲3八金と上がらせている事も合わせてまあまあ満足な序盤戦と思っていました。しかしここからの具体的な指し手や方針が難しく、長考に沈みます。
第4図から仕掛けを目指すのは難しいと判断し、6筋の位の圧力を緩和する意味で穴熊への組み替えを目指しました(△8二玉~△6二金寄~△7四歩~△7三銀~△9二香という順)。しかしこの構想は疑問で、第4図からそのまま仕掛けていく順を模索するほうが現実的だったと思います。何しろ玉形が大差なので、少しくらい無理な仕掛けでも通ってしまう可能性は十分にありそうです。
本譜の穴熊への組み替えは、駒運びが明らかに不自然な感じがしますし、6六角の利きを活かして端攻めを目指されると却って当たりが強くなってしまっています。実戦も9筋の歩を伸ばされて先攻を許す展開になってしまいました。
しばらく進んで第5図。ここで強く決戦を挑む△4五歩と、端の傷を緩和する△9八歩(▲同香に△8六桂の狙い)の二択で迷いました。穴熊的には当然△4五歩の一手で、形勢は後手苦しいですが実戦的なアヤはかなりある展開だったと思います。本譜は秒に追われて△9八歩を選択しましたが、そこで▲7三歩△同飛▲7四金というのが少し見えづらい切り返しでした。以下△7二飛▲9八香△8六桂▲6九玉△9八桂成に▲8四歩が急所中の急所で、こうなってはもう粘りが利きません。開幕からの連勝は3でストップしました。
第4図から穴熊に組み替える構想や第5図からの△9八歩など、全体的にセンスがなかったな・・・とは思いましたが、自分なりに一生懸命考えた結果だから仕方がない、と割り切って考えることにしました。
5局目(1/15)
今度は定跡形の相振り。矢倉の厚みを相手にせずB面攻撃を目指す「菅井流」の攻めを受け止める展開になりました。こちらが先手番だったのと、相手が仕掛けの前に玉側の端歩を突いていた影響で、十分な態勢で仕掛けを迎え撃つことができました。一度は完全に受け切る形になったものの、その後のまとめ方があまり良くなく、相手に暴れられてギリギリの勝負となります。
第6図は終盤戦。駒割りはこちらの大きな駒得ですが、飛車を逃げると△6六歩が厳しく、完全に受け切るということはできない局面になっています。攻め合うにしても後手の美濃は堅そう・・・ですが、ここからの指し手はちょっとだけ自慢の手順、のつもりです。
第6図以下▲6三歩△7七成桂▲8三歩△6三銀▲3二飛△5二銀▲6三角△6七成桂▲7二銀(第7図)
堅そうに見える美濃ですが、歩を2枚ポンポンと置くだけで詰めろが掛かりました。歩の偉大さが身に沁みます。第7図の▲7二銀で後手玉は詰んでいます。
逆転負けしていたら3連勝からの2連敗で嫌な流れになっていたところでしたが、 なんとか踏みとどまって4勝1敗にできたのは大きいと思います。気分的にもだいぶ楽になれました。
6局目(1/17)
またまた相振り。駒組みから仕掛けに至るまで、全体的にちょっと雑になってしまっていたと思います。 美濃の堅さを頼りに一方的に攻めまくり、気分がいいようでも攻めは細い。局後のGPSの検討では、終盤でこちらが敗勢になっている局面もあったようですが、相手の時間攻めを意識したノータイム指しがこちらに幸いし、細い攻めを繋いで寄せ切ることができました。結果的に白星はついたものの、内容的には大反省の一局でした。
・・・ということで、前半戦終了時点で5勝1敗の勝ち点16、リーグ内の順位は暫定1位となっています。リンリンさんはここまでは1局のみの消化で、後半にどこまで対局数を伸ばせるか、というところでしょうか。
全ての将棋で、というわけではありませんが、全体的には自分なりにしっかり指せているほうかなと思っています。内容重視という第一目標を忘れないようにしつつ、後半戦も気持ちを切らさずに指していければと思います。対局しているのを見かけた時は、ひょっこり覗いてみていただければ幸いです。