まずは一回、何か書いてみようということで。

普段の対局中、頭の中でどんなことを考えながら指しているのかを自分なりにまとめてみようと思います。 思考内容を言語化するのって、けっこう自分のためになりますよね。見てくださってる皆さんの役に立つかどうかは別問題ですが、少しでもお役に立てましたら幸いです。

●遊び駒を作らない 
24では二段で停滞していた時期が少し長かったのですが、そこから三段→四段と上がって行けたのは、「遊び駒を作らない」ことを意識しながら指せるようになったのが大きな要因の一つだと思っています。

飛車角を捌く。捌けなければ自陣の守りに利かす。金銀が遊んでいたら少しでも囲いに近づけたり、相手玉に近づけたりする。左桂もできるだけ活用する。逆に、相手の駒は遊ばせる。どの場所で戦いが起これば相手の駒(飛車角や、離れている金銀)が遊びやすいかを考える。・・・このあたりのことはしっかり意識するようにしています。

 
●相手の大駒の利きを歩で止める
相手の駒を遊ばせる、ということに繋がります。うまくいけば相手を飛車落ちとか角落ちみたいな状態にできるので、効果は抜群です。逆に自分の大駒の利きが相手の歩で止まったら、すぐ別の場所に持って行って活用します。 
12

●壁の反対側から攻める
壁銀の金無双に対して▲6四歩(△4六歩)のコビン攻めが急所になるように、相手玉の逃げ道が壁になって塞がっている部分があったら、壁の部分は相手にせず反対側から攻める。これが可能な状況なら常に急所の攻めになると思います。


34

第1図は実戦で現れた局面の部分図。8筋がものすごい壁になっているので、▲8四歩とか▲9三歩のような手は絶対に考えません。壁の反対側から攻める▲5四歩が急所で、以下△同歩▲5三歩△同金▲5五歩△同歩▲5四歩△5二金▲5三銀(第2図)と進めば後手は粘りが利きません。

●迷ったら歩を叩く
これは実戦的なテクニックで、無意識のうちにやっているという方も多いのではないかと思います。歩を叩く手は、大駒を切るとか金駒をタダで捨てるような手に比べると失敗した時の痛手が小さいので、とりあえずどこかに歩を叩いて時間稼ぎ、という小技は秒読みの時などは有用だと思います。叩いて取らせたら相手の形が良くなって「お手伝い」だった、というケースはあるかもしれませんが。

●じっと歩を伸ばす、垂らす
中盤で全面戦争の直前だけど一瞬だけ猶予がある時とか、終盤の入り口で自玉がまだ堅い場合なんかに、じっと歩を伸ばしてプレッシャーをかけたり、垂れ歩で拠点を作ったりするのが好手になりやすい、という印象を持っています。「直接手よりも次に厳しい手、後で効いてくる手」という原則もありますし、何よりこういう類の手は指した時の感触がものすごくいいです。

5昨日、久々に24で指した将棋から。図でじっと△9五歩がすこぶる感触の良かった一手です。自玉の懐を広げながら穴熊の急所である端攻めを見せ、先手にプレッシャーをかけています。実戦は△9五歩以下▲6五歩△同歩▲5五歩△同歩▲4五銀と暴れに来ましたが、△6四銀▲7六金△7三角▲4四銀△5六歩…と進んでカウンターが決まり快勝。

図のように、飛車同士が向かい合っている時は間に駒がある側が不利という原則も割と意識するようにしています。本譜の展開も、先手の銀の動きに制限があるので(飛車を素抜かれないように)、思うように攻めることができません。

●玉を一路寄る
終盤で玉を一つ寄る手が自玉の耐久度を上げたり、場合によっては一手争いの終盤で決め手になることもあります。

6一年ほど前の実戦から。状況としては、相手玉(先手玉)は角か銀が入れば8九に打って詰み。自玉(後手玉)は金駒を渡すと▲7一角から詰みがあります。ここで△9二玉が決め手。対して▲7一と、としても△8二金で、先手からは角を渡さずに後手玉に迫る手段がありません。実戦は△9二玉に▲7九桂△5五銀と進み、以下数手で勝ち。ここまでぴったりの手になることは稀ですが、自玉が危ない時に△9二玉という手は常に意識の片隅に置くようにしています。

「△9二玉は振り飛車の奥義」 by藤井先生

・・・全くもってまとまりのないまとめでした。実際にはもっと色んな事を考えながら指しているとは思うのですが、完全に習慣化して無意識下へ追いやられているものも多いんでしょうね。やはり思考の言語化は難しいです。